転職活動をするにあたって、避けては通れないのが『履歴書』『職務経歴書』の作成です。
これらは新卒のエントリーシートとは似て非なるものです。
例えば新卒時は「社会人とは、仕事とはいかなるものか」という認識が曖昧であったり、多少ズレていたりしても、やる気と根性を猛アピールしてフレッシュマンならではの勢いを買ってもらえるということがあるかもしれません。
けれど、社会人経験のある者にはそれが通用しないので、企業側のツボを押さえた抜かりない書類を用意する必要があります。
そこで、まず転職における履歴書や職務経歴書に「書いてはいけないこと」や「避けた方が良い表現」を抑えて、書類作成のコツを習得できるようナビゲートしていきたいと思います。
目次
志望動機は、自分が会社にどう貢献できるかを具体的に書くこと
志望動機で一般的によく書かれるのが、「御社の事業内容に興味がある」、「御社のこれからの可能性、将来性に魅力を感じる」などです。
確かにこれらは無難ではあるのですが、言い方を変えるとありきたりなので、特に転職時には採用側の目を引くだけのインパクトはほとんどありません。
採用担当者が求めているのは、自社で活躍してくれる人材ですので、上記のような志望動機の後に、自身がどのように貢献していきたいか、どのように貢献できるかを書き加えると、印象がかなり変わります。
「前職でのこのような経験を、御社の将来性ある事業の中で活かしていきたい」とか、「職種は違いますが、前職の経験やスキルはこのような形で御社での業務に貢献できると思う」とか、社会人経験者ならではの具体的な切り口で記載するのが◎です。
絶対に書いてはいけないのが、「残業が少ないから」、「転勤がないから」等の個人的な事情です。
就業において無視できない要素ではあるのですが、『志望動機』としてはあまりにもネガティブですし、「じゃあ残業がなければどこでも良いのか?」という所に行き着いてしまうので、まず書かない方が良いです。
面接の中で待遇面についての話になった時に、やんわりと希望を伝えていくことをオススメします。
ネガティブ禁止。転職理由は、ポジティブな言い回しに
転職の理由は、どうしてもネガティブなものが多くなるのが現実ですが、これをストレートに書類に書いてしまうと、あまり良い印象は持たれません。
前職・現職に対する不満をあまりに強調すると、「うちの会社に来ても不満を募らせてすぐに辞めてしまうのではないか」と思わせてしまうので、あくまで前向きな転職であることをアピールするようにします。
同じ内容を言うにしても、ポジティブな言い回しに変換することで、ずいぶんと印象が変わります。
・年収UPしたい→成果や実績を評価してもらえる会社で働きたい
・休日や労働時間などの条件が悪い→効率よく生産性を重視した会社で働きたい
・前職がつまらなかった→新しい環境で、さらに成長するための有意義な時間を過ごしたい
・上司や同僚と合わなかった→尊敬できる優秀な人達の中で、自分も成長していきたい
資格・スキルは数じゃない。どうアピールするのかが重要
資格などは持っているに越したことはありませんが、「ただ持っているだけ」ではあまり意味がありません。
それは、必ずしも「その資格を活かした職務経験がなければならない」ということではなく、「何のために取得したのか」、「その資格を転職先でどう活かせるのか」という部分を明確にする必要がある、ということです。
ただ持っている資格を羅列するだけではなく、「こういう仕事に就きたいと希望していて、スキルや知識が足りないと思ったから取得した」とか、「御社で経験させていただきながら、この資格を活かしていきたい」とか、企業側が求めているスキルや経験と自身の資格を合致させてアピールしていくことが大切です。
小さなものから大きなものまで、実に40種近い資格や免許を保有している私の知人は、これまでのアルバイト面接や就職活動の時に、その企業で意味のある資格・免許だけをピックアップして履歴書に記載したといいます。
もちろん、書ききれないからという理由もありますが、相手企業にとって意味のない資格はアピールする意味もないという認識だそうです。
ただ、ちょっと珍しい資格や面白い資格など、面接のときに雑談のネタになりそうなものは、さりげなく書いておくと役に立つことがある、とのことです。
アピールになるなら、職務経歴書はアルバイト経験を書いてもOK
職務経歴書を書くときに浮かぶのが、「アルバイト経験も書いて良いのか?」という疑問。
一般的には、履歴書および職務経歴書の『職務経歴』の部分には、正社員や契約社員、派遣社員として働いた経歴のみを記入するものと認識されています。
しかし実際は状況によって異なるといって良いでしょう。
例えば主婦の方などで、社員としての就業は何年もブランクがあるけれど、子育てをしながら長くパート勤務をして社員と同等の責任ある仕事を任されていたとか、アルバイトで身に付けた経験と能力が応募企業の業務に活かせるとか、自分なりに譲れない理由があって(スキルアップのためなど)アルバイトという立場であってもそこで経験を積みたかったとか、こういった場合には職務経歴欄にアルバイト暦を記載することも是と言えます。
特に、そのアルバイト経験が自己PRや志望動機に繋がるものであれば、採用担当者の目に留まる可能性もあるので、書いておくと◎です。
趣味・自己PRはプライベート過ぎる内容はNG
自身の個性を自由にアピールできる項目ですが、あまりにプライベートでひとりよがりな内容では、「転職のための書類」としての意味を持ちません。
趣味に関しては、履歴書の趣味の欄に箇条書きで記す程度であればサラリと書き流してよいですが、例えば趣味と仕事がマッチしている場合などはアピールしないともったいないので、「この趣味で培った能力をこのように活かしていきたい」とひとこと添えると良いでしょう。
自己PRも、「自分の長所は○○です!」、「こんな経験やスキルがあります!」で止まってしまうのではなく、長所やスキルをどう活かしていきたいのか、どのように役立つと考えているのかを明確に記載するようにしましょう。
とはいえ、ユーモアが求められるような企業や職種では、これらの項目は絶好のアピールポイントになりますので、そのような場合にはあまり堅くなりすぎないことも大切。
相手企業の社風なども見極めて、温度調節をしていきましょう。