転職エージェントは複数利用すべき理由と注意点

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転職エージェントは企業側から成功報酬を得るので、転職希望者の利用は基本的に無料です。

とはいえ、転職エージェントとは密なコミュニケーションを取り合い二人三脚で転職活動を続けていくので、「どこか一つに絞らなきゃ…」と思ってしまう方もいるかもしれませんね。
しかし、転職エージェントはやっぱり複数利用するのがオススメ。その理由や、複数利用の注意点や上手く利用するコツをご紹介していきます。

転職エージェントの得意・不得意分野を使い分ける


転職エージェントには、それぞれに個性があります。

それは、「大手で求人数が多い」とか、「サイトが使いやすい」といった類のものだけではありません。ターゲットとしている年代や、取り扱っている地域の違い、「特にこの業界・業種に強い」という部分であったり、「年収UPをしたいならココ!」、「ハイキャリア向けはココ!」、「ブランクのある人の就職に強い!」といったような、転職の目的や転職希望者が持つ背景に合わせた特色であったりもします。

各エージェントの得意・不得意分野を考えると、少なくとも「求人数が多く全国の企業を取り扱っている大手総合エージェント」と、「中小でも自身の希望に合致した転職エージェント」の2ヶ所には必ず登録しておくのが賢いやり方。大手だからこそたくさんの企業に出会える、中小だからこそ特定のニーズには強いというような、それぞれのメリットを取ることができますよね。

転職エージェント個々の特色をよく知って、自身のなかで「絶対に譲れない」と思っている条件と合致しているところには登録しておいて損はありません。また、職務経歴書の作成や模擬面接、各種セミナーなどの質が高いと評判の転職エージェントは、ぜひ登録して得意分野を活用していきたいですね。複数の転職エージェントに登録して、各エージェントのメリットを用途によって使い分けていけば良いのです。

複数登録すると非公開求人や独占案件を見逃さない


転職エージェントが持つ求人情報には、公開求人と非公開求人があります。公開求人のなかでも特定の転職エージェントだけで取り扱っている案件はありますが、これはアンテナさえしっかり張っていれば見逃さずに済むでしょう。

注目すべきは、非公開の求人情報。緊急性が高い求人や重要なポジションの求人は、非公開&独占案件として取り扱われているケースが少なくないのです。また、大手企業や有名企業が応募者の殺到を防ぐために、限られた転職エージェントだけで非公開案件として求人を出していることもあります。

企業側の事情として、やはり多くの転職希望者の中から吟味して優秀な人材を得たいという気持ちがありますので、独占案件は「リクルートエージェント」、「JACリクルートメント」、「doda」といった大手が持っていることが多いようです。

しかし、たとえば地方で転職を希望する場合、地元の中小エージェントへの登録は必須。地元転職エージェントとの繋がりが深く、大手にはあえて求人情報を提供していないという企業もあります。そしてその企業が地元就職希望者にとってはこの上ない優良企業であることも。また、専門職の場合は業界特化型の転職エージェントも必ず網羅しておきたいところです。

複数の転職エージェントに登録することで、条件の良い非公開求人や独占案件と出会うチャンスが増えます。妥協をせず納得のいく転職を成功させたい方にとっては、ここは見逃せないポイントです。

質の高いキャリアコンサルタントに出会える


転職エージェントでは、転職希望者一人ひとりに担当者(キャリアコンサルタント)が付いて、転職活動を進めていきます。そのキャリアコンサルタントの力量が不足していると、転職活動が難航してしまいます。

注意したいのは、「評判の良い転職エージェントなら、質の高いキャリアコンサルタントばかりが揃っている」というわけではないところです。人間同士なので相性もありますし、それぞれのキャリアコンサルタントに得意分野や不得意分野があるかもしれません。

質の高いキャリアコンサルタントを見極めるには、実際に登録をして面談をしてみる必要があります。その際に見極める目を養うためにも、複数の転職エージェントに登録して、何人かのキャリアコンサルタントと接してみることが大切なのです。

1社しか登録しておらず、そこの担当者以外のキャリアコンサルタントがどのようなサポートをしてくれているのかが見えない状況では、担当者が優秀なのかさえ判断することができませんよね。たまたま付いた担当者の力量が低く、そのことに気づかないまま時間が過ぎてしまうケースも、1社利用ではよくあるケース。
複数の転職エージェントに登録して、何人かのキャリアコンサルタントと接触していると、サポートや相性の良し悪しを比較しながら、自分に合った担当コンサルタントを選ぶことができます。また、「面接練習ならこの人!」「マッチングならこの人!」「メンタルサポートはこの人!」といったように、それぞれの強みを上手く活用していくのも有意義ですね。

転職エージェントに複数登録した際の注意点


複数の転職エージェントを利用する場合、まず注意したいのがスケジューリングです。担当コンサルタントとの面談や模擬面接など、時間を割いて足を運ぶことが少なくないので、在職中に転職活動を行う場合は特に負担がかかります。

あまり詰め込みすぎると、時間的にも体力的にも無理が生じて、捌ききれなくなる可能性も。万が一それで転職エージェントとの約束をドタキャンしてしまうようなことが頻発すれば、転職エージェントとの信頼関係が壊れてしまうばかりか、約束を守れない利用者には、エージェント側としては案件を紹介することをためらってしまいますよね。転職エージェントは、転職希望者をサポートすることと同時に、企業に良い人材を紹介するという職務があるのです。

複数の転職エージェントに登録して同時進行で活動を進めていく場合は、スケジューリングやタイムマネジメントをしっかりと行い、自分のキャパをきちんと把握して、自己管理をすることが大切です。

また、同じ企業からの案件を複数の転職エージェントから紹介された場合は、重複して応募しないようにしてください。
重複応募になっている時点で企業は不信感を抱きますし、「他の転職エージェントからも応募が来ている」と、企業から担当コンサルタントに連絡が入り、転職エージェントからの信頼も失ってしまいます。複数利用をしていても、誠実さとマナーは大切にしましょう。

複数登録しても転職先は1社。転職エージェントに礼を尽くすには?

転職エージェントを複数利用すること自体は、今はもう珍しいことではないので、「他のエージェントにも登録している」という事実が心象を悪くすることはないでしょう。
しかし、それが当たり前とばかりに他社と比較して批判をしたり、横柄な態度を取ったりするのはNG。キャリアコンサルタントは一人だけを担当しているわけではないので、良い案件は丁寧な対応ができる応募者に紹介したいと考えます。

担当キャリアコンサルタントとのやり取りは、転職活動の一部なのです。転職活動中はピリピリしてしまうことも多いと思いますが、そんな中でも社会人としての礼儀やマナーを大切にすることが、間接的に転職成功へのチャンスを拡大すると考えてください。

担当者はあなたをサポートしてくれる存在なので、必要以上にへりくだったり、ご機嫌を取ったりする必要はありませんし、明らかに担当者に非があるような場合にはクレームを出しても構いません。大切なのは伝え方。落ち着いた対応は、あなたの価値を上げてくれますよ。

あるエージェントから紹介された案件で内定を獲得した場合、他に登録しているエージェントに素直に報告することも問題ありません。むしろ、その内定についての意見を聞いてみることをオススメします。良識あるエージェントなら、冷静な判断で背中を押してくれたり、もっとあなたにふさわしい案件を紹介してくれることもあります。

内定を辞退するなら、エージェントにはきちん謝罪をしましょう。晴れて内定を受け転職先を決めるときには、紹介してくれたエージェントはもちろん、お世話になった他のエージェントにも心をこめて感謝の気持ちを伝えるようにしてくださいね。