「仕事」と「家庭」はどっちが大事? ワークライフバランスの実現のために

プライベート

「イクメン」という言葉に象徴されるように、男性が積極的に育児に参加することが歓迎される社会になってきました。
事実、幼稚園や小学校では、平日の行事でも父親の姿をよく見かけます。

正社員で職に就いている母親も珍しくはない世の中、男性も女性も条件は同じ。父親も母親と同じだけのエネルギーで育児に関わるというのは、自然なことであるはずなのです。

ところが、男性が「育児休暇」を取得することや、「子供の看病」「学校行事」といった理由で会社を休むことを、何のわだかまりもなくクリアできる企業というのは、残念ながらまだ少ないと言わざるを得ません。

制度として、男性を対象とした「育児休暇制度」が設けられていても、それを実際に取得した男性社員はゼロ・・・という会社は、一体どれだけの数にのぼることでしょう。

周囲の目が厳しい、上司からOKが貰えない、何となく言い出しにくい。そんな理由から、「取りたくても取れない」と諦めている男性は、非常に多いのではないかと思います。

「男性は外で働き、女性が家を守る」は古い考え方

しかし、「男性は外で働き、女性が家を守る」という時代とは、確実に変化してきています。
それを如実に物語っているのが、「家族と過ごす時間を確保したい」という理由で、転職を志す人が増えているという現象です。

かつて「男性は外」という意識が当たり前だった頃なら、このような理由で転職を考えるなど言語道断、一笑に付されていたかもしれません。それでも長い年月をかけて世の中の意識は少しずつ変わって、むしろ好意的に受け止められるようになってきています。

社会人男性の「仕事」と「家庭」のバランスの取り方について、現在は「社会の意識は確実に変わってきているのに、現場ではまだ様々な課題がある」という過渡期です。

せっかく設けられた制度も、行使されなければ無いも同じ。

勇気を持って育児休暇や家族の行事を理由に有給休暇取得する男性が増えれば、次の代へと繋がっていくでしょう。
この一歩を踏み出すことが、今の時代に社会の第一線で働く人の課題の一つであると言えます。

そうは言っても、「実際に行動に移すのは難しい」というのが、多くの方の本音でしょう。

なぜなら、今現在企業のトップにいるのは、「男性は仕事が第一」という時代を生きた世代であることが多いからです。
「子供の学校行事があるから有休を取りたい」の一言で、嫌な顔をされるケースも少なくないと思います。

そんな中で、事を穏便に進め、かつ意識を変えていく流れを作るためには、どう立ち回ったら良いかを考えてみたいと思います。

「有給休暇」は本来、具体的な理由を名言する義務はない

「年次有給休暇」は、労働者に認められている「休む権利」です。

これは労働基準法で認められているもので、本来は通常の休日と同じように、休む理由を報告する義務はないものなのです。
申請のときに理由を求められても、「私用のため」で十分。

理由が明確でないと休めないという企業の話を耳にすることもありますが、それは本来あるべき姿ではありません

とはいえ、理由を言わなければ休暇を取得しづらい社風の会社もあります。
周囲との良好な関係を保つためには、意固地になって権利を主張するより理由を伝えた方が円滑に進むケースも多々あります。

そんな時は、正直に話すというのも一つの方法です。

隠すのではなく、伝え方を工夫する

「子供の学校行事で」とだけ伝えると弊害があるような場合は、「病院」や「銀行での手続き」など平日にしかできない用事とコンボにして伝えるというやり方が有効です。

「行事に参加した後、他の用事もこの日にまとめて済ませたいと思います」というような言い方をすれば、受け手としても「休む日数を最小限に抑えようとしているんだな」というよい印象を抱きますよね。

最初から「学校行事」という部分を隠して、通院などのやむを得ない理由だけを伝えるという方法もありますが、会社の意識を変えていきたいと思うなら、あまりオススメできません。

まず、「家庭の用事で休暇を取得する」ということに対する違和感を無くしていく必要がありますから、ここを全て隠してしまうと先に進めません。
小出しでも、多少オブラートに包んででも、確実に伝えていくことが大切です。

同じ立場の同僚を味方に付けろ!

かわいい子供の晴れ姿を見たくない父親がどこにいるでしょう。
仕事熱心な同僚も、できることなら子供の行事の日には「仕事を休んで見に行きたい」と思っているかもしれませんよね。

同じような立場の同僚を味方に付けて、互いにフォローし合うような態勢を作れると理想的です。

ただ、「仕事」と「家庭」のバランスの取り方は人それぞれなので、その違いがかえって裏目に出るケースもあることは覚悟しておきましょう。

平たく言うと、「同じ年代の子供がいながら、行事云々で頻繁に休む人と、仕事を第一に考えて休みを取らない人がいる」という状態を作り出してしまう可能性があります。

上司が「仕事第一」に好意的であれば、マイホームパパは一気に肩身の狭い思いをすることに・・・。

それでもめげずに胸を張っていただきたいものですが、無理は禁物なので、うまくバランスを取りましょう。

休む前後のフォローを忘れない

気に食わない理由で休まれても、やることをやっている部下に対して、上司は文句を言えません。
家庭の事情で休まれることを嫌う上司がいる場合は特に、休む前後のフォローは完璧にしましょう。

いつもより入念に、120%のパフォーマンスで仕事をこなすくらいの勢いで取り組んでください。

とはいえ、どんなに周到に準備をしていても、普段いる社員が一人欠けることは、少なからず弊害が出てくるものです。

周囲の理解を得るためには、普段からコミュニケーションをしっかり取って、信頼関係を築いておくことも大切です。

フレックスタイムを上手に利用しよう

会社がフレックスタイム制度を設けているなら、それを上手に利用しましょう。

学校や幼稚園の行事は、運動会など一日がかりのものの方がむしろ少ないはず。フレックスを利用すれば、午前中だけ休んで行事に参加するとか、中抜けをするとか、様々な形態が可能なはず。

スケジュール的には少々ハードですが、まる一日休みを取るよりも弊害が少ないかもしれません。