【体験談】ハードワークでうつ病に。退職をし、転職活動を成功するまでの記録とアドバイス

転職

近年、ハードワークや職場環境(パワハラなど)による「うつ」や「うつ状態」を訴える人が増えてきました。
上の世代の人からは、「近頃の若い者は軟弱だ!」などという声が聞こえてきそうですが、筆者は必ずしもそうではないと思っています。

ようやく就職できたのに簡単に辞められない、次の仕事がなかなか見つからない、仕事を選り好みしていられない・・・そんなシビアな状況は、今の時代ならでは。
十分な教育や職業訓練を受けていても、仕事を得るのが簡単ではない時代です。雇用形態も多様化しており、契約社員やアルバイトなど不安定な環境下で働くリスクを考えると、なかなか「辞める」という選択肢を選べません。

「続けるも地獄、辞めるも地獄」そんな葛藤の中で、精神的にどんどん病んでいってしまうことを、誰も責められないと思います。

ハードワークで何も考えられない


実は筆者も、ハードワークによって精神的に危険な状態に片足を踏み入れた経験があります。
毎日終電で帰り、休日は半分以上が出勤。

身体のキツさもさることながら、それだけのハードワークに報酬がほとんど支払われていなかったことで、精神的にも追い詰められました。

身体はボロボロ、おまけに給料が上がるわけでもない。家に帰ったら倒れこむように眠り、数時間後にはまた出勤。食事や家のことにも手が回らなくなるので、体調も環境もどんどん悪化していきました。

月に数回の休日は、家の掃除をする余裕も息抜きする余裕もなく、結局何も出来ないままボーッと過ごすだけ。「このままではまずい」と思いながらも、仕事の納期は容赦なく迫って来るので、がむしゃらに目の前の仕事を処理していくしかありませんでした。

「仕事に行きたくない」と思う気持ちが、病状の第一歩になることが多いので、まずはその気持ちと向き合って下さい。
もしかしたら、それが、自分自身からのSOSなのかもしれません。

「仕事に行きたくない」は、過剰なストレスを抱えた自分自身からのSOSのサイン

参考)「仕事に行きたくない」は、過剰なストレスを抱えた自分自身からのSOSのサイン

ドクターストップで休暇。そして、退職


結果どうなったかというと、産業医にうつ病気味であることを指摘され、半ば無理やりまとまった休暇を取ることになり、病院にも通いました。

そして数週間で復帰したものの、完全に回復することはなく、思い切って会社を辞めることにしました。辞めた後の不安はありましたが、このまま続けていたら再起不能になるのではないかという不安の方が勝りました。

当時20代後半という若さも後押ししたかもしれません。
しばらくアルバイトなどをして生活をつなぎ、リハビリをした後に転職活動。辞職から1年ほど経った頃に、正社員での再就職を果たしました。

精神を病んでいるときは、変化がないほうがいい?

「うつ」や「うつ状態」で休職をした場合、医師からは大抵「今すぐの転職はオススメしない」、「休職が可能なら休職を続けてください」と言われます。
一般的に、精神的に病んでいるときは、大きな決断をすることや、環境を大きく変えることは推奨されないのです。

これは、転職に限ったことではなく、「離婚」、「恋人と別れる」、「引越しをする」など私生活の部分でも、NGを出されることがあります。
不安定な精神状態でそのような行動に出ても、結局うまくいかずに挫折してしまうことが多いからです。

そして、ますます精神状態が悪くなっていく。そんな負の連鎖に陥ることを避けるために、「環境は変えない方が良い」と言われることが多いのです。

けれど、環境を変えることで回復する可能性もある

しかし、休職を何ヶ月も続けるというのも、違った意味で苦しいものがあります。

周囲の人はどう思っているのか?
数ヶ月経って復職したときに自分の居場所はあるのか?

たとえ体調が戻っていても、周りに気をつかわせて、休職前と同じようには仕事ができないのではないか・・・?

ハードワークでうつになり、休職を経て復帰をしたとしても、会社そのものの状態が変わっていなければ、またハードワークに戻るか、異動や役職を下げてもらうなどの措置をしてもらって仕事量を減らすしかないですよね。

パワハラや職場環境への不適応が原因でうつになったのなら、同じ職場に復帰すること自体が危険な場合もあります。
そんな時は、やはり「転職」を視野に入れた方が良いのではないかと思います。
環境を変えることで、もう一度自分自身を立て直すことができる可能性が広がるからです。

 

「うつ」や「うつ状態」が原因で退職に至り、転職活動をする際に、抑えておきたいポイントが2つあります。
それは、【転職先の選び方】と、【転職理由の伝え方】です。

転職先の選び方

せっかく心身が復調してきていても、転職先の選び方を誤ると、再就職後に逆戻りする危険性があります。
再発を回避し、真に社会復帰を果たすためにも、次のことに注意するようにしてください。

うつの原因となった要素を排除する

例えばハードワークでうつになった(なりそうになった)人の場合、転職先を選ぶときは、勤務時間や休日の日数などは入念に確認してください。
勤務時間に加えて、通勤時間なども視野に入れるとなお良いです。休息の時間がしっかり取れる環境を死守してください。

パワハラやシビアな職場環境が辛かったという人は、社風を重視するとよいですね。

仕事は忙しくても、和やかな環境の中でなら、それほど苦痛なく頑張れるという人は多いです。実際に面接などで企業を訪れたときに、採用担当者とのやり取り、受付や廊下で社員の方と挨拶を交わしたときの反応、フロア全体の雰囲気などから、企業の「色」や「空気」を感じ取ってください。

「仕事があるだけ有り難い」、「贅沢は言っていられない」という事情もあると思いますが、「最低限、これだけは!」というポイントでは妥協しないことが大切です。

新しすぎる環境は危険!

本来、精神的に正常でない状態のときに、転職など大きな環境の変化はあまり勧められません。
そこでオススメなのが、経験を活かして同じ職種や同じ業種内で転職をすることです。

「今までの仕事にうんざりして辞めるのに、同じような仕事なんて!」と思われるかもしれません、しかし、同じような職種・業種でも、企業が変わればやることも違ってきます。
たとえば同じ「営業」の仕事でも、環境(企業)が変われば、全く違った印象を持つことも多いのです。

慣れている仕事、知識を持っている仕事に携わることで、「新しいことを一から始める」重圧を避けることができます。
得意なことを、今までより良い環境で、自分に合ったやり方でできる企業を探してみてください。

もちろん、元の職種や業種に強烈な拒絶反応を示している場合はこの限りではありません。
「仕事内容は嫌いではなかったけど、元の会社で続けていくのは無理だった」という人には、特にオススメしたい選び方ですね。

転職先への前職の退職理由の伝え方

精神的な部分が理由で転職をするとき、転職先の企業には、それを正直に伝えるほうが良いのでしょうか?
それとも、嘘でも他の理由を言う方が良いのでしょうか?

辞職後すぐに転職する場合

・「このままではうつになる」と思って転職する場合
・既に「うつ」や「うつ状態」と診断されているけれども、休養期間を取らずに転職する場合
・休職を経て転職したが、書類上の「退職」から再就職まで時間が空かない場合

上記のようなパターンのときは、「うつになりそうなこと」、「うつであること」、「うつであったこと」を正直に伝える必要はありません。
就業が可能な状態まで回復していたとしても、「うつ」という事実を伝えることで、採用担当者に「大丈夫かな?」という不安を抱かせてしまうことは否定できません。

ただし、転職理由を述べるときに、自分が精神的にキツかった部分については、それとなく伝えると良いでしょう。

前の会社の文句を言うのではなく、「こういう環境で苦しい思いをしたので、もっと自分に合った環境で力を発揮していきたいと思いました」など、ポジティブな言い回しで真意を伝えるようにします。「転職したものの前職と同じような環境だった」では、元も子もありません。

辞職後、リハビリ期間を経て再就職する場合

辞職から再就職まで、数ヶ月~1年以上という期間が空く場合は、少し事が複雑になります。
「前の会社を辞めてからずいぶん経っているけど、この期間は何をしていたんですか?」と、必ず問われることになるからです。

嘘も方便、「持病のヘルニアが悪化して・・・」とか、「親が入院して看病のために・・・」とか、適当にかわすのもアリといえばアリなのですが、やはり良心が咎めるもの。
多くの人が、「体調を壊しまして・・・」と濁して答えることでしょう(筆者もそうでした)。そして、勘のいい採用担当者なら、ここでもうピンと来てしまうと思われます。

大切なのは、「もう大丈夫である」と伝えること。そして、「この経験を次に活かしたい」と前向きな姿勢を見せることです。

筆者の場合は、前職退職後、体調を整えながら社会復帰を目指すためにアルバイトを続けていたこと、徐々にその量を増やしていきフリータイムの就業が難なくこなせるようになったことを、まず伝えました。その中で、自分の体調をしっかりコントロールする術を身に付けたことも伝えました。
一人で抱え込み、同僚に助けを求めなかったことを、「周囲を信頼せず、チームワークを大切にしていなかった」という反省とし、今後に活かしたいと伝えました。そして、無事内定をいただくことができました。

もし、採用担当者に「うつ」のことが伝わってしまった場合でも、そこから前向きに這い出してきた事実を伝えれば、活路はあります。
筆者の友人で、やはり「うつ」でタイムラグのある転職に成功した人がいます。その人は、転職先の採用担当者から、「一度つまずいた人の方が強いですからね。

自分のキャパもわかってるし、良かったですね。こちらとしても、かえって安心できます」というお言葉をいただいたようです。卑屈になることはありません。
「うつ」の経験が武器になることだってあるんですよ。